オール電化の電気代は高い?節約法や基本料金、初期費用の目安を紹介
今回は、オール電化でかかる電気代の平均額について、ガスや灯油を併用した場合と比較しながら解説します。また、電気代の今後の見通しや、オール電化で上手に電気代を節約する方法も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
オール電化の基礎知識
はじめに、オール電化とはそもそもどのような仕組みなのかご紹介します。オール電化において重要な役割を果たす給湯器「エコキュート」についても、仕組みを理解しておきましょう。
オール電化の仕組み
オール電化とは、家庭で使用するあらゆるエネルギーを電力でまかなうことを指します。電気とガスを併用している住宅と、オール電化住宅で使う器具の違いは、下記のとおりです。
用途 | 電気・ガス 併用住宅 |
オール電化 住宅 |
---|---|---|
調理 | ガスコンロ | IHクッキング ヒーター |
暖房 (空調) |
ガス ファンヒーター |
セラミック ヒーター |
床暖房 | ガス温水床暖房 | 電気式床暖房 |
給湯 | ガス給湯器 | 電気温水器・ エコキュート |
オール電化住宅では、エネルギーをすべて電気でまかなうことになります。家庭内で火を使うことがないため、ガス漏れの心配もありません。
オール電化におけるエコキュートの役割
エコキュートは、温水を供給するための設備です。お風呂やキッチンなどで使用する温水は、エコキュートがまかなうと考えてください。
電気・ガス併用住宅の場合、ガスを燃焼させることで熱を発生させ、水道水を加熱して温水を出しています。一方、エコキュートは、電気エネルギーを使って高温の空気を作り、空気の熱によって水道水を沸かしています。オール電化住宅では、エコキュートが温水の供給を一手に引き受けているのです。
エコキュートの給湯の仕組み
エコキュートには「ヒートポンプユニット」が搭載されており、外気から取り込んだ空気を圧縮して高温にしています。そして、高温の空気で沸かした熱湯を貯湯タンクに溜めておき、水道水を混ぜることで設定温度まで下げたお湯を供給します。
エコキュートが沸かしたお湯は、直接家のお風呂やキッチンに給湯しているわけではありません。夏場に水道水の温度が高めであれば混ぜる水の量が増え、反対に水温が低い冬場には混ぜる水の量は少なくて済みます。
オール電化住宅の光熱費
オール電化の導入を検討するにあたって、おおよその光熱費を把握しておきたいと考えている方は多いのではないでしょうか。続いては世帯人数別・住居形態別に、オール電化住宅の平均的な光熱費をご紹介します。
世帯人数 | 1人暮らし | 1万777円 |
---|---|---|
2人家族 | 1万3,046円 | |
3人家族 | 1万4,835円 | |
4人家族以上 | 1万6,533円 | |
住居形態 | 一戸建て | 1万5,311円 |
集合住宅 | 1万2,123円 |
出典:関西電力「オール電化の電気代平均額と節約方法」
※関西電力のオール電化メニュー「はぴeみる電」会員データ(2020~2021年の年間使用量の平均値)より算出した平均使用量をもとに、「はぴeタイムR」の料金単価を適用して算出。燃料費調整額は含まず。
世帯人数が2人以上になると部屋数や家電の点数が増える傾向があるため、1人暮らしの場合と比べて光熱費は上がっているようです。ただし、2人家族以上の世帯を見ていくと、人数が増えても光熱費の大幅な上昇がないことも確認できるはずです。
オール電化住宅ではあらゆるエネルギーを電気でまかなうため、電気代が高くなるというイメージがあるかもしれません。しかし、光熱費全体として見ると、光熱費が極端に高いわけではないことがわかります。
オール電化の基本料金と初期費用はどれだけかかる?
オール電化と電気+ガスの併用、それぞれの平均的な電気代がいくらになるのかは気になるところです。ここでは、オール電化と電気ガス併用の基本料金を確認していきます。
また、オール電化に切り替える際、設備の導入には初期費用がかかります。初期費用の元がとれるまでの期間がどれくらいかかるのか、おおよその目安も押さえていきましょう。
オール電化と電気ガス併用の基本料金を比較する
電気・ガスともに、月々の料金には固定費として基本料金がかかります。平均的な家庭での使用量をもとに、まずは基本料金を比較してみましょう。
- <基本料金比較>
- ・LPガス(使用量10m3/月)1,858円+電気併用858円=2,716円(※1)
- ・都市ガス(使用量30m3/月)1,056円+電気併用858円=1,914円(※2)
- ・オール電化(東京電力エナジーパートナー「スマートライフS」基本料金/10A)286円×6=1,716円(※3)
※1 石油情報センターの東京都都心部「平均基本料金」と、東京電力エナジーパートナー「従量電灯B」30Aの併用で算出。
※2 東京ガスの東京地区等「A表の基準単位料金」と、東京電力エナジーパートナー「従量電灯B」30Aの併用で算出。
※3 東京電力エナジーパートナー「スマートライフS」の10Aの基本料金に、6を掛けて算出。
上記のとおり、オール電化住宅ではガスを使用しないため、ガスの基本料金は不要となります。基本料金を一本化できることから、電気とガスを併用する場合と比べて基本料金が抑えられるのです。
オール電化にはある程度の初期費用がかかる
オール電化に切り替える場合、オール電化に対応する設備を導入する必要があります。新たに購入する器具の数や機種によって初期費用は変動しますが、IHクッキングヒーターとエコキュートを導入すると、工事費込みで約60万円程度かかるのが一般的です。
初期費用はかかりますが、オール電化に切り替えることで基本料金や夜間の電気代は割安になります。結果的に、月々のランニングコストを抑えることができるので、長い目で見れば初期費用は回収できます。器具の使い方やライフスタイルにもよりますが、およそ8~10年で元がとれると想定しておきましょう。
ここまで解説してきたことをまとめると、オール電化の費用に関しては、下記のようなことがいえます。
- <オール電化の費用まとめ>
- ・夜間の料金単価が割安に設定されており、夜間に電気がお得に使える
- ・基本料金が電気に一本化されるため、ガスと併用する場合よりもお得になる
- ・初期費用の元をとるには8~10年かかると想定する
以上のことから、オール電化は長期間使用することを想定しているのであれば、「高くない」といえます。反対に、ごく短期間しか使わないことが想定されるようなら、損をする可能性もあるのです。
オール電化への切り替えを検討する際には、先々の生活スタイルも考慮した上で決めていく必要があります。
電気代が高騰している背景とは?
2021年下半期から、徐々に電気代が高くなっているという声が聞かれます。オール電化への切り替えを検討するにあたって、気になるのが電気代です。
続いては、電気代が高騰しているといわれている背景や理由について確認しておきましょう。
LNG(液化天然ガス)価格の高騰で、電気料金プランが値上げ
2022年5月、大手電力会社7社が電気料金の値上げを発表しました。ここで重要な点は、特定の電力会社だけが値上げに踏み切ったのではなく、大手電力会社がすべて値上げしたことです。
値上げの発端となったのは、国内における発電の30%前後を占めるLNG(液化天然ガス)価格の高騰でした。LNGの価格は原油価格に連動して3ヵ月ごとに見直されており、原油価格の高騰に引きずられる形で価格が上昇したのです。
発電に使用する燃料が高騰すれば、電力会社の経営を圧迫する直接的な原因となります。そこで、月々の電気代には「燃料費調整額」が加味されており、燃料費が高騰した場合には電気料金単価を上乗せする仕組みになっているのです。電力会社による電気料金プランの値上げは、この燃料費調整額の上昇に起因しています。
再生可能エネルギー発電促進賦課金も値上がり傾向
再生可能エネルギー発電促進賦課金も、値上がりをしています。再生可能エネルギー発電促進賦課金とは、「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」によって2012年に定められた賦課金です。
太陽光発電設備などを設置した住宅や事業所で発電した電気は、電力会社が買い取ることになっています。しかし、大量の電力を一度に買い取れば、電力会社にとって大きな負担となりかねません。そこで、月々で使用した電力量に応じて再生可能エネルギー発電促進賦課金を徴収し、電力会社の買取費用にあてています。
再生可能エネルギーの発電設備が増えるにつれて、電力会社の買取費用も上昇していきます。それらが原因となり、再生可能エネルギー発電促進賦課金も値上がりしているのです。
2020年末から市場卸売価格が高騰
前述のLNG(液化天然ガス)価格高騰に加え、2020年の冬には寒波が日本列島を襲いました。寒波を起因として電力の需要は急増し、電力供給量が逼迫する事態となったのです。これを受けて、日本卸電力取引所(JEPX)での電力の市場卸売価格が高騰しました。
電力の市場卸売価格が高騰したことにより影響を受けたのは、「市場連動型プラン」を採用している電力会社です。市場連動型プランとは、電気料金のうち「従量料金単価」を市場価格に合わせて変更するプランを指します。
電力需要が少ない夜間などの電力を割安に利用できることが市場連動型プランのメリットですが、今回のように卸売価格が高騰した場合には、電気料金単価が高くなるというデメリットもあるのです。
ウクライナ危機でさらに燃料が高騰化
LNG(液化天然ガス)価格の高騰、再生可能エネルギー発電促進賦課金の値上がり、市場卸売価格の高騰に追い打ちをかけたのがウクライナ危機です。世界でも有数のエネルギー大国であるロシアと西側諸国の関係性が悪化したことにより、原油価格はますます先行きが不透明な状態となりました。原油価格はさらに上昇し、LNGをはじめとする燃料の高騰化に拍車がかかったのです。
電気料金の値上げには、国際情勢も深く関わっています。特定の電力会社だけが値上げしているわけではないため、今後も国際情勢ならびに原油価格の動向を注視していく必要があるでしょう。
電気代高騰はいつまで続く?
ここまでに見てきたとおり、発電に必要な燃料であるLNGや石油、石炭などの取引価格は電気代を左右する原因の1つです。近年の取引価格を見ると、LNGの取引価格は2022年8月が最も高く、その後は下落傾向が続いています。燃料価格は、電気代が値上げされる前の水準まで落ち着いているのです。
さらに、2022年10月には1ドル150円を超える記録的な円高となっていたものの、2023年7月時点では1ドル140円前後まで戻りました。アメリカ国内においてもインフレ対策が直近の重要課題となっていることから、燃料価格が再び高騰する要因は見いだせません。そのため、2023年の後半には電気代は再び値上げ前の水準に戻っていくのではないかという見方もあります。
旧電気料金プランと、オール電化向けプランの電気料金単価を比較
オール電化住宅は電気料金が安くなるイメージがありますが、電気料金単価はいくらくらいになるのでしょうか。ここでは、旧電気料金プランとオール電化向けプランを例に挙げ、それぞれの料金単価を比較してみました。
出典:東京電力エナジーパートナー「従量電灯B・C」
東京電力エナジーパートナー「従量電灯B」の場合
まずは、比較対象として東京電力エナジーパートナー「従量電灯B」の基本料金と電力量料金を確認していきましょう。
旧電気料金プランである「従量電灯B」の場合、時間帯や季節による電気料金単価の変動はありません。上記の料金が年間を通じて適用されます。
東京電力エナジーパートナー「スマートライフS」の場合
東京電力エナジーパートナーのオール電化住宅向けプラン「スマートライフS」の場合は、時間帯に応じて、上記の基本料金と電力量料金が適用されます。
「スマートライフS」の1:00~6:00の電気量料金は、「従量電灯B」の第1段階料金(120kWhまで)よりも2.1円割安となっていることがわかります。日中に外出することが多い世帯であれば、このプランを選んで効率的に光熱費を抑えることも可能です。
オール電化は、自分のライフスタイルに合ったプランを選べば、旧電気料金プランよりも低い電気料金単価で電気を使用できるでしょう。
電気代がひと月10万円を超えることもある?
電気代の高騰に伴い、世帯あたりの電気代が以前では信じられないほど値上がりしたという報道を見ることがあります。世帯によっては「電気代がひと月10万円を超えた」といった報道を見かけて、不安をつのらせた方もいるでしょう。
実際、電気代がひと月10万円を超えるような事態はありえるのでしょうか。ここでは、電気代が高額になってしまう原因について解説します。
使用している器具が古すぎる
電気代が高騰しているとはいえ、電気代がひと月10万円を超えるというケースは極端な例といえるでしょう。月10万円以上の電気代がかかってしまう原因を挙げるとすれば、使用している設備が旧式であることが考えられます。
例えば、暖房器具に「蓄熱暖房機」を使用していたり、給湯器に「電気温水器」を使っていたりすると、電気代を押し上げる原因になるはずです。これらはいずれも旧式の器具であり、近年に製造・販売されている器具のような省エネ対策が施されていないものも数多く見られます。
もし、電気代が月10万円を超えているようなら、使用している設備の製造年月日を確認してみてください。目安として製造から20年程度経過しているようであれば、省エネ性能がまだ十分に高くなかった頃の器具の可能性があります。
オール電化住宅は、器具によって電気代が大きく異なる
特にオール電化住宅においては、設置されている器具によって電気代に差が開くことは珍しくありません。省エネ性能に優れた器具を使用していれば、オール電化住宅であっても電気代を効率的に抑制することは不可能ではないのです。
一例として、「ヒートポンプ給湯器(エコキュート)」などの給湯器具や、寒冷地仕様の「暖房用エアコン」「ヒートポンプ暖房システム」などは、省エネ性能の高いオール電化住宅向けの器具といえます。反対に、こうした省エネ対策が施された器具を導入していないために、電気代がほかの世帯よりも高くなっていることはありえるのです。
オール電化住宅であっても器具によっては電気代が高くなるケースがあることを念頭に置き、必要に応じて器具の買い替えを検討するのもひとつの方法です。
省エネ性能の高い機器導入には補助金もある
省エネ性能の高い器具を導入すれば電気代を抑えられるとはいえ、器具の購入にはまとまった額の出費が避けられません。そのため、新たな器具の購入や買い替えを躊躇した方もいるでしょう。
なお、省エネ性能の高い器具を導入する際には、一定額の補助金が交付される支援策を政府が創設しているのはご存じでしょうか。対象となる器具と補助金額は下記のとおりです。
- <補助金交付の対象器具と補助金額>
- ・ヒートポンプ給湯器(エコキュート):5万円/台
- ・ハイブリッド給湯器:5万円/台
- ・家庭用燃料電池(エネファーム):15万円/台
※出典:資源エネルギー庁「給湯省エネ事業」
こうした補助金を活用すれば、省エネ性能の高い器具を導入する際の金銭的負担は軽減できます。器具の購入や買い替えを予定しているご家庭は、補助金の活用もぜひ検討してみてください。
オール電化住宅の電気代の節約方法
オール電化住宅の電気代を節約するには、具体的にどのような点を意識すればいいのでしょうか。特に重要なポイントを、2点ご紹介します。
電気料金が安い時間帯に家電を使う
オール電化住宅向けプランに加入した場合、家電の使用は電気料金が安い夜間にできるだけ集中させ、電気料金が割高な日中の電気の使用は控えましょう。
洗濯機や食洗機などタイマー機能が備わっている家電であれば、夜間に集中的に稼働させるのが理想です。1日分の洗濯物や食器を夜中にまとめて洗うことで、電気代の節約につながります。
消費電力の大きい家電を把握する
家庭内で使用する家電のうち、特に消費電力の大きいものを把握しておくことも大切です。一般的に、暖房器具や調理器具など、発熱するタイプの家電は消費電力が大きくなりやすい傾向があります。
- <消費電力の大きい家電の例>
- ・IHクッキングヒーター
- ・エアコン
- ・ホットプレート
- ・食器洗浄器
- ・電子レンジ
- ・アイロン
- ・衣類乾燥機
- ・洗濯機(乾燥時)
- ・ドライヤー
- ・パネルヒーター
- ・遠赤ヒーター
- <消費電力がやや大きい家電の例>
- ・掃除機
- ・ホットカーペット
- ・布団乾燥機
- ・ハロゲンヒーター
- ・こたつ
- ・ファンヒーター
消費電力の大きい家電は、できるだけ短時間でまとめて使用することを心掛けましょう。例えば、家族の帰宅時間に合わせて衣類乾燥機を何度も使用するのではなく、家族分をまとめて夜間に乾かすといった工夫をすることで電気代の節約につながります。
エコキュートの電気代はどうやって節約する?
オール電化住宅の電気代を考える上では、エコキュートにかかる電気代を把握しておくことも大切です。エコキュートは外気を取り入れて高温の空気を作るため、外気温によって電気代が変動します。
ここでは、都道府県別のエコキュートの電気代や、効果的に電気代を節約する方法について見ていきましょう。
都道府県別・エコキュートの電気代平均額
都道府県別に見た場合のエコキュートの電気代平均は、下記のとおりです。規制料金の値上げを実施しなかった関西電力、九州電力、中部電力ミライズの3社は、エコキュートにかかる電気代が比較的抑えられることがわかります。
エリア | 電気代平均(年) | 電気代平均(月) |
---|---|---|
北海道電力 エリア |
約5万4,000円 | 約4,500円 |
東北電力 エリア |
約4万8,000円 | 約4,000円 |
北陸電力 エリア |
約4万2,000円 | 約3,500円 |
東京電力 エナジーパートナーエリア |
約3万7,200円 | 約3,100円 |
中部電力ミライズ エリア |
約2万5,200円 | 約2,100円 |
関西電力 エリア |
約2万400円 | 約1,700円 |
中国電力 エリア |
約4万3,200円 | 約3,600円 |
四国電力 エリア |
約4万4,000円 | 約3,700円 |
九州電力 エリア |
約2万400円 | 約1,700円 |
出典:Panasonic「低ランニングコスト」
エコキュートを使用して電気代が高くなる原因
エコキュートで電気代が高くなる原因とは、いったいどのようなものなのでしょうか。注意しておきたい原因として、下記の5つを把握しておきましょう。
- ・日中に沸き増しをしている
- エコキュートは、夜間に沸かしたお湯をタンクに貯めておくという特徴があります。夜間の電気代が割安になる、オール電化プランのメリットを活かす仕組みになっているのです。タンク内のお湯が不足したといった理由で日中に沸き増しをすると、電気代が割高となる時間帯に多くの電力を消費しますので注意してください
- ・節約機能を使用していない
- エコキュートには、「省エネモード」などの節約機能が搭載されています。節約機能を使うことで日中の自動沸き増しを停止し、電気代が割高となる時間帯の消費電力を抑えることができるのです。
しかし、節約機能を使用していないと日中でも自動沸き増し運転をしてしまうため、電気代が高くなる傾向にあります。 - ・エコキュートの貯湯量以上にお湯を使用している
- エコキュートは電気代を節約するために、電気代が割安な深夜にお湯を沸かし、あらかじめ沸かしておいたお湯を翌日に使用する仕組みになっています。エコキュートの貯湯量は370Lまたは460Lのものが一般的です。エコキュートの貯湯量を超えるお湯を使用している場合、給湯を続けるには昼間にお湯を沸かし直さなくてはなりません。結果として、電気代が割高な時間帯に多くの電気を使用することになり、電気代が高くなってしまうのです。
- ・契約しているアンペア数が高い
- 契約アンペア数とは、その世帯で使用できる電流の上限のことです。30A、40A、50A、60Aといった契約アンペア数を契約時に選ぶと、契約内容の変更を申し出ない限り契約アンペア数ごとの基本料金や電気料金単価が適用され続けます。
契約アンペア数が大きいほど、基本料金や電気料金単価は高くなります。そのため、実際に使用するアンペア数に対して過大な契約をしていると、電気代がかさみがちです。家庭内で同時に使用する家電のアンペア数を調べ、アンペア数の合計値に対して契約アンペア数が大きすぎないか確認してみましょう。 - ・使い方に合わない料金プランを利用している
- 多くの電気事業者は、消費者がそれぞれのニーズに合わせて選べるよう、さまざまな電気料金プランを提供しています。例えば、夜間の電気代が割安になるプランや、昼間の電気使用量が多い人向けのプランなど、生活スタイルに合わせて料金プランを選べるのです。
しかし、自分の生活スタイルに適さない料金プランを利用していると、電気代が割高な時間帯に多くの電気を使うなど、電気代を押し上げる原因になりかねません。現在契約している料金プランの内容や特徴を確認し、現在の生活スタイルに合わない契約内容になっていないか確認しておきましょう。
エコキュートで電気代を抑える使い方
エコキュートで電気代を節約するには、どうしたらいいのでしょうか。エコキュートは、下記のポイントを押さえて使用することが大切です。
- ・規則的な生活を送り、日中にエコキュートの湯切れを起こさないようにする
- 規則的な生活を送ると、入浴や皿洗いなど、お湯を多く使用する時間帯を一定にすることができます。日中に多くのお湯を使わないようにすることで、エコキュートの湯切れを防ぐこともできるでしょう。
- ・お風呂は高温足し湯を利用する
- お風呂のお湯を温め直したいときには、追い焚き機能ではなく「高温足し湯」を使いましょう。タンク内のお湯を使って足し湯をするため、新たにお湯を沸かす必要がなく、電気代を節約することができます。
オール電化の電気代にまつわる疑問をQ&Aで解消!
オール電化住宅の電気代は高いのかどうかが気になっている方のために、よくある疑問をQ&Aにまとめました。オール電化への切り替えを検討中の方は、疑問点の解決に役立ててください。
Q. 電気料金は高くなっていく傾向がある?
2022年6月時点では、過去3年間と比べて電気料金は上昇傾向にあります。火力発電に使用するLNG(液化天然ガス)の価格が高騰していることが原因のひとつです。また、再生可能エネルギー発電促進賦課金が上昇していることも、電気料金が値上がりした一因といえます。LNGの価格は原油価格に連動して決定されているため、今後も電気料金が高くなっていくかどうかについては、原油価格の動向を注視していく必要があるでしょう。
Q. オール電化住宅の光熱費はどれくらい?
オール電化住宅の平均的な光熱費(月額)は、1人暮らしの場合で1万777円、2人家族で1万3,406円、3人家族で1万4,835円、4人家族以上では1万6,533円です。住居形態別に見ると、一戸建ての場合は1万5,311円、集合住宅では1万2,123円が平均的な光熱費となっています(関西電力「オール電化の電気代平均額と節約方法」)。
オール電化住宅では、基本料金がかかるのが電気代のみとなるため、電気・ガス併用住宅と比べて光熱費が割安になりやすい点が特徴です。
Q. オール電化と電気ガス併用の基本料金はどう違う?
オール電化と電気ガス併用の場合の基本料金を比較すると、下記のとおりとなります。
構成 | 基本料金(月額) |
---|---|
LPガス(使用量10.3m2/月)+電気併用 | 2,736円 |
都市ガス(使用量30m2/月)+電気併用 | 1,914円 |
オール電化(東京電力エナジーパートナー「スマートライフS」60A) | 1,771円 |
オール電化は、電気ガス併用よりも基本料金が抑えられます。電気ガス併用住宅では、電気とガスのそれぞれに基本料金がかかるのに対して、オール電化住宅では電気代にしかかからないからです。
Q. オール電化は、どれくらいで元がとれる?
オール電化は、目安として8~10年で初期費用の元がとれるといわれています。IHクッキングヒーターとエコキュートを導入すると工事費込みで約60万円はかかることになりますが、長期的に使い続ける予定であれば、元をとることは可能です。
Q. エコキュートで電気代が高くなる原因は?
エコキュートは、オール電化プランで電気代が割安になる夜間にお湯を沸かしておき、翌日に使用するお湯をまかないます。日中に沸き増しをしたり、節約機能を使用していなかったりすると、エコキュートの電気代が高くなる傾向があります。日中はできるだけ沸き増しをせず、お風呂を温め直したいときには追い焚き機能ではなく高温足し湯機能を使いましょう。
【まとめ】基本料金を電気に一本化できるオール電化は、光熱費の節約につながる
オール電化の光熱費は、電気・ガスを併用する場合と比べて割安です。電気料金が高騰しているため、今後の動向を注視していく必要がありますが、現状では基本料金を電気に一本化できるオール電化は光熱費の節約につながると考えていいでしょう。
ただし、オール電化住宅で効果的に節約するには、電気の使い方やエコキュートなどの特性を知っておくことが大切です。今回解説してきたポイントを参考に、オール電化のメリットを最大限に引き出してください。
\新電力への切り替えなら
「HTBエナジーでんき」に/